皆さんこんにちは、今日は2024年8月30日(金曜日)、台風10号が日本で各地に大雨をもたらしています。台風がきている最中ですが、東京から日帰りで京都へ行き「村上隆 もののけ 京都」展を鑑賞してきました。
帰りは大雨の影響で東海道新幹線が運休となり、急遽「敦賀」まで急行で生き、北陸新幹線の最終便で、往路の倍の時間、約5時間かけて東京に戻ってきました。奇跡的に最終便に間に合って、東京に戻ってこれただけでも仕事的によかったです。会期は残り3日。2024年9月1日迄です。村上隆さんご本人のインタビューで、日本で最後の個展とおっしゃていたので、仕事の都合上、ギリギリになってしまいましたが行けてよかったと思います。
会場は昨年も訪れた京都市京セラ美術館 東山キューブ。好きな美術館の1つです。会期終盤なので混雑していると予想していましたが、入り口付近は相当、混雑していました。ちなみに入場制限はかかっていませんでした。
動画撮影は許可されておりませんでしたが、写真撮影が許可されていたので、写真を紹介できます。相当混雑していたので写真を撮影するのが難しく、全部の作品は紹介できません。
ちなみに、私が村上隆さんの美術展に足を運ぶのは
1. 2015年 村上隆の五百羅漢図展
2. 2016年 村上隆のスーパ―フラット・コレクション展
3. 2020年 STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ – 森美術館
と行っているので、4回目の作品鑑賞となります。
今回の「村上隆 もののけ 京都」は国内で約8年ぶりとなる大規模個展となっています。
「もののけ」とは?
そもそも、「もののけ」とはどういった意味か調べました。
人にとりついて悩まし、病気にしたり死にいたらせたりするとされる死霊・生霊・妖怪の類。また、それらがとりついて祟ること。
・死霊(しりょう)や生霊(いきりょう)や、祟り(たたり)
・霊に取り憑かれている様
・不吉な事柄・異変
といったような意味です。
入り口でチケットを購入し、ロッカーに荷物を預け、この階段を登ると会場に到着です。
最初に、高さ約4メートルの巨大な赤鬼と青鬼「阿吽像」が出迎えてくれます。後ろのフラワーの作品が光って見えるのは銀箔が館内の照明の光を反射しているからです。写真中央の木枠で囲われた入り口を進んでいきます。
この作品だけでなく、様々な作品に金箔、銀箔が相当使用されておりこんなに箔を鑑賞できる美術展は珍しいのではないでしょうか?贅沢すぎる美術展です。大量の花の反復、箔の輝きの前に赤鬼と青鬼「阿吽像」。圧倒される世界観です。
「村上隆 もののけ 京都」展は2024年2月3日から始まったので、会期の前半は桜と金箔・銀箔で市松模様を描いた作品でした。会期の途中で展示作品が変更されています。そちらも見てみたかったです。
次に入り口を進むと、京セラ美術館の庭園にある立体作品「お花の親子」が迎えてくれます。コロナ禍の中開催された、2020年東京の六本木 森美術館で開催された「STARS展」にて公開された作品ですが、今回はルイ・ヴィトンのトランクの上に立っています。
美術展に訪れる前にはYoutubeで色々な動画を見て予習して京都に行きましたが、個人的に一番見たかった作品がこの「お花の親子」。2020年東京の六本木 森美術館のSTARS展で見た際はルイ・ヴィトンのトランクは無く、コロナ禍の真っ只中でしたので、大仏みたいな作品という印象を感じましたが、今回はまた違った印象です。
庭園の奥にいくと、作品を後ろ側からも鑑賞できます。
この角度らへんから鑑賞すると、作品の構造がよくわかります。
水面に反射している「お花の親子」
美術館内から見た「お花の親子」
さてここまではチケットを購入しないでも鑑賞できるエリアでしたが、次からが美術館内のエリアです。新作、約170点で構成されている「村上隆 もののけ 京都」展が始まります。
今回の展示で興味深かったのは、作品のタイトルと簡単な説明だけでなく、村上隆さん本人による「言い訳ペインティング」と題された、解説文も一緒に展示されていました。こちらも、ちゃんとキャンバスにシルクスクリーン(おそらく)で制作されています。自画像も凝っており鼻の穴の中からキャラクターが顔を出していたりで、面白い演出ですね。
さて、日本美術史は学んだことは全くなく、なんとなくの知識で鑑賞しています。大人になってから雑誌等で知った琳派、伊藤若冲・尾形光琳・葛飾北斎等、中学校の美術や歴史の授業で習ったことを、なんとなく知っているレベルの知識です。今回をきっかけに日本美術史の本も読んで学んでいこうと思います。
洛中洛外図(らくちゅうらくがいず)岩佐又兵衛 rip
混雑で、写真を撮影してもどうしても他の観覧者の方の顔がハッキリと写ってしまうので、作品の全体像は村上隆さんの公式Youtubeで確認してください。
洛中洛外図に描かられた、村上さんのキャラクターを中心に写真で紹介していきます。Youtubeを拝見してから作品を鑑賞したのですが想像以上の迫力や面白さがありました。図録によるとサイズは横約12m、高さ約6m53.8cmと、サイズは相当大きいです。展示スペースも広くなく後ろに下がれなかったので、近距離で鑑賞することになるので、さらに大きく感じます。
村上隆版 祇園祭礼図
会期の途中からですが、7月2日より展示された「村上隆版 祇園祭礼図」。個人的にですが、好きになった作品の一つです。よく見るとUFOまで飛んでいました。
人が多すぎて、うまく撮影できなかったので肖像権の都合上ぼかしています。
金箔にフラワーのアイコン
ドクロの盛り上がりや銀箔、金箔、色使いも相まって、ここのエリア好きです。縁取りもカラフルで面白いです。
琳派のお花と抽象的図像・大仏オーヴァル
京都 光琳 もののけフラワー
尾形光琳の花
キャンバスも分厚く存在感があってカッコいいです。
黒い箇所はラメのようにキラキラしています。
四神と六角螺旋(らせん)堂
続いて進むと、空間が変わり一気に暗い空間に入ります。部屋の東に「青龍 京都」、南に「朱雀 京都」など東西南北に四神を配し、中央には伽藍(がらん)を象徴する「六角螺旋(らせん)堂」が展示されるインスタレーションです。
DOB往還記
この馴染みのない「往還記」という言葉が気になり帰宅後、調べてみたら、「行き来したことの記録」という意味のようです。
この解剖模型のようなフィギュアは美術展の最後のギフトコーナーで販売されていました。欲しかったですが、高価すぎて購入できませんでした。
風神・雷神ワンダーランド
風神・雷神は2種類展示されていました。新しく村上さんがサイズを設計したもの、
雲⻯⾚変図《辻惟雄先⽣に「あなた、たまには⾃分で描いたらどうなの?」と嫌味を⾔われて腹が⽴って⾃分で描いたバージョン
一部下書きの跡もわざと?残っています。
驚いたのは展示方法です。壁に直接ホッチキスのようなもので止めてありました。タッカーでしょうか?
曾我蕭白の「雲竜図」をもとに描いた作品。ボストン美術館所蔵。詳細の紹介はこちらのサイトがよくわかります。辻惟雄さんのインタビュー記事です。
梟猿図の猿・梟猿図の梟(ふくろう)
5つめのセクションは『もののけ遊戯譚』
こちら、解説文の写真を撮影し忘れてしまいましたので、解説を読みたい方は図録を購入してください。
CLONE X x TAKASHI MURAKAMI ユニークロゴ ピンク ver
まとめ
今まで様々な美術展に足を運んでいますが、相当すごい個展だと感じました。世界的に活躍されているのもそうですが、それにはコンセプトやアーティストとしての戦略も重要なのは村上さんご本人がインタビュー等で解説されているので、重要なのだと認識しているのですが、、、作品を見ただけでは、やはり分かりません。
それでも惹きつけられる要因は、やはり画力なのでしょうか?シルクスクリーンも厚みを感じたり、透明の上塗り剤を塗っていたりしていてアンディ・ウォホールとは全く違うシルクスクリーンの用い方です。色数も圧倒的な数で何色なのか数えられません。工房制で、様々な方が関わっているので絵のタッチ・画風もヴァリエーションが豊富です。久々に圧倒されて頭がクタクタに疲れた、充実した美術展でした。立体作品・彫刻作品はいつみても、欲しいなぁと思うくらい好きです。
台風が来ていたので東京から京都へいくのも迷いましたが、思い切って訪れてよかったです。
村上隆さんによると、この個展が日本では最後の個展だそうです。特に最初のエリアの洛中洛外図と祇園祭礼図または、新作(図録を読むと、作ってくれる雰囲気があります。)が日本で見ることができないのは残念でなりません。もう会期は終わりそうですが、台風もきてるので足を運ぶのは難しいとは思いますが、残り2日。京都近郊在住の方で興味ある方は足を運んだほうがいいです。
日本で最後の個展でないことを期待しています。サプライズで後、何回かは個展を日本で開催してほしいものです。最後に、「掛軸塾_日本画、美術、文化、表具」チャンネルさんで、村上隆さん、ご本人による作品解説がYoutubeで公開されているので、その紹介で今回の記事をおしまいにします。
永久保存版 | 村上隆 もののけ京都 独占インタビュー | SUPER FLAT と現代美術アート | Takashi Murakami
図録について
図録を購入しましたが、帰宅後確認したら図録には全部の作品は紹介されていませんでした。おそらく期間中、途中で追加された作品は図録に掲載されていません。それでも図録は読み応えあるので購入をおすすめします。
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参考サイト・書籍
村上隆 もののけ 京都 図録(京都市京セラ美術館 編集)
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Casa BRUTUS(カーサ ブルータス) 2024年 04月号増刊[村上隆と京都]
https://amzn.to/4gmgrlx
ロサンゼルスの現代美術館「The Broad/ザ・ブロード」で開催された「村上隆:虹のしっぽを踏む」に関する紹介
Stepping on the Tail of a Rainbow / Takashi Murakami(May 21 – Sep 25, 2022)
https://mymodernmet.com/takashi-murakami-the-broad-exhibition/
美術史家、辻 惟雄さん(聞き手は美術ジャーナリストの鈴木芳雄さん)による記事「村上さんはずっと進化を続けてるね」 (MON ONCLE|アートと旅と本と。)
https://mononcle.art/story/page-19655/
金剛力士像 日本史辞典/ホームメイト
https://www.touken-world.jp/history/history-important-word/kongorikishi-zo/
村上隆さんによる著書
創造力なき日本 アートの現場で蘇る「覚悟」と「継続」 (角川oneテーマ21)
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芸術闘争論 (幻冬舎文庫)
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芸術起業論 (幻冬舎文庫)
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SUPERFLAT(Kaikai Kiki)
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村上隆完全読本 美術手帖全記事1992-2012 (BT BOOKS)
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