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パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展―美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへを鑑賞してきました #01

みなさん、こんにちは。2ヶ月ぶりの久々の更新です。今日は2023年11月10日(金曜日)、季節は秋ですが今年は暖かい日が続いており、毛布もセーターもコートまだ使用していない状況で、薄い長袖のシャツやTシャツで過ごせるくらい暖かい日が東京は続いています。

さて、東京の今日の天気は小雨、久しぶりに雨、、、雨の日は美術館が空いているかもと思い仕事も落ち着いているので、いつか行こうと思っていた、国立西洋美術館(東京 上野)で現在開催されている「パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展―美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ」を鑑賞してきました。これほどの多くの作品が展示されるキュビスムに関する展覧会は日本では50年ぶりの開催だそうです。西洋美術に興味のある方は行って損はない展覧会です。

作品が110点以上展示されているので、時間に余裕をもって閉館の4時間前くらいに着くように家をでました。結果3時間以上鑑賞し美術館を後にしました。空いてはいなかったですが、混雑はしていなかったので、時間的にも気持ち的にも余裕をもって作品鑑賞できましたが、作品点数が多いのでこれから行く方は時間に余裕を持っていくことをお勧めします。

写真機(カメラ)の発明で大きな変化が

西洋美術史的に見るとキュビスムは「写真機(カメラ)の発明」によりルネッサンス時代に追求された「写実的な絵画」をあえて描くのやめた作家が登場した以降の時代にてきた画法・画風です。正確な絵は写真にとってかわられたので、遠近法を用い対象物を正確に写実的に描くのではなく、絵画でしかできない新しい描き方を探している時代にでてきた新しい画法です。

ポール・セザンヌの影響を受けた「パブロ・ピカソ」「ジョルジュ・ブラック」の2人が最初に生み出したのが後に「キュビスム」を呼ばれるようになりました。これを頭にいれて美術館に行くと時代背景がよく理解でき鑑賞を楽しめます。(名称は1908年にジョルジュ・ブラックの風景画が「キューブ(立方体)」と評されたことに由来します。)

ポール・セザンヌがキュビスムの起源

セザンヌの「多視点」「単純化」を「パブロ・ピカソ」「ジョルジュ・ブラック」の2人が発展させながら、始まった「キュビスム」。そのため、まずはセザンヌの作品が3点か4点が展示されていました。(記憶が曖昧ですいません。)写真撮影が許可されていたのが1点のみだったので、こちらの「ポントワーズの橋と堰 / The Bridge and Dam at Pontoise (Le Pont et le Barrage à Pontoise) 油彩、カンヴァス(1881年)」作品を紹介できます。一見すると普通の風景画に見えますが、よく見ると、明るい色彩でタッチがわかるように意図的にタッチを残して描かれている作品です。写実的に肉眼でみたまま描くのではなく、単純化して描こうとする方法がみてとれます。

国立西洋美術館による解説はこちらから

ポール・セザンヌによる「多視点」とは?

セザンヌは個人的に好きな作家なので、「4人の水浴の女たち」「ラム酒の瓶のある静物」が見れたのが嬉しかったです。特に「ラム酒の瓶のある静物」は色使いが好みでした。箱根のポーラ美術館所蔵なので、この展示が終わっても日本で見れることのできるセザンヌの作品の1つです。(撮影禁止だった為写真は残念ながらございません。)図録やネット等の写真ではわかりずらいのですが、色づかいが控えめなので一見地味な印象ですが実物は綺麗な印象を受ける不思議な作品です。この作品はわざと遠近法を無視して多くの視点で見たようにわざと違和感を感じられるように描かれています。

ポーラ美術館による「ラム酒の瓶のある静物」の解説はこちらから

フランスのオルセー美術館所蔵の『リンゴとオレンジのある静物』1895-1900年の作品が多視点を理解するには良い作品です。Wikipediaより画像が提供されているのでこのブログにも掲載できます。


『リンゴとオレンジのある静物』 ポール・セザンヌ 1904年
オルセー美術館所蔵   Wikipedia
(今回のキュビスム展には展示されていません。ご注意ください。)

なんとも言えない微妙にバランスを崩した絵画です。自然な視点で描かれていないように感じられるのは視点をわざとずらしながら絵を描いているから独特な雰囲気の絵画となっています。

ポール・セザンヌによる「単純化」とは?

今回のキュビスム展での展示はなかったですが、セザンヌが1904-06年頃に描いた「サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール」の絵をみると筆跡による単純化の理解が進みやすいです。こちらは日本 東京の「アーティゾン美術館 / ARTIZON MUSEUM」が所蔵しているので、展示されていたら日本で鑑賞することのできる作品です。作品の紹介はこちらから。

また、アメリカのフィラデルフィア美術館所蔵の『サント・ヴィクトワール山』1904年の作品も単純化を理解するには良い作品です。Wikipediaより画像が提供されているのでこのブログにも掲載できます。


『サント・ヴィクトワール山』   ポール・セザンヌ   1904年
フィラデルフィア美術館所蔵   Wikipedia
(今回のキュビスム展には展示されていません。ご注意ください。)

これらの作品を見ると、セザンヌは筆跡を残しながらも描く対象物をリアルに写実的に描こうとはせずに、単純化しているのが理解できると思います。この単純に分解し描きながら描く手法がキュビスムに影響を与えたので、この展覧会でもセザンヌの作品が紹介されています。

セザンヌの作品の紹介の次は、当時の画家のみならず、芸術家達が影響を受けたとされるアフリカの彫刻作品の展示があり、そこから実際のキュビスムの絵画や彫刻作品の展示へとすすんでいきます。

長くなったので、気になった作品は全て撮影しましたが、作品点数が多すぎて全部は掲載できないので気に入った作品を1つだけ紹介して今日の記事を終わります。次の記事にキュビスムに影響を与えた「アフリカ・オセアニアの彫像」を紹介いたします。


「女性の胸像」(1909‐1910年)パブロ・ピカソ
基本的には明るい色使いの作品が好きなのですが、この作品は色が少ないですが、なんか惹かれました。何故でしょう?笑っているようにも見えるからでしょうか?

音声ガイドがオススメ!

最後に、おすすめのポイントを紹介します。勉強のために、いつも音声ガイドを利用して、作品を鑑賞していますが、今回はアタリでした!「キュビスム展」の音声ガイドはオススメで、Youtubeでも大人気の美術評論家の山田五郎さんの解説もついており、キュビスムに詳しくない方はぜひ聴きながら鑑賞するのがオススメです。なくても十分わかりやすい解説も展示会場に掲載されていますので、節約したい方は無理しなくても、帰宅後にYoutubeで検索して関連する動画を見たらより理解が深まります。

音声ガイドって情報量に満足することが少ないのは僕だけでしょうか?今回は情報量が多くて満足でしたのでオススメです。

公式サイト|https://cubisme.exhn.jp/
会期は2023年10月3日(火)〜2024年1月28日(日)なので、来年まで開催されていますが、お早めに行くのをオススメします。
次の記事では、キュビスムに影響を与えた「アフリカ・オセアニアの彫像」を紹介です。ぜひ、ご覧ください。

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