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パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展―美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへを鑑賞してきました #02

みなさん、こんにちは。今日は2023年11月11日(土曜日)、東京は昨日と違って一気に寒く感じる日がやってきました。さて、昨日、行ってきた国立西洋美術館で開催されている「パパリ ポンピドゥーセンター キュビスム展 ― 美の革命」、昨日の記事ではポール・セザンヌがいかにキュビスムに影響を与えたか?を紹介しました。今日は昨日、紹介できなかった「アフリカ芸術・民芸」について紹介していきます。

ヨーロッパ圏の人々が関心をよせたアフリカ・オセアニアの彫像

今日は、キュビスムの絵を描いた作家たちに影響を与えたとされる、アフリカ・オセアニアの彫像が展示されていたエリアを紹介します。何故、キュビスムの展覧会に彫像が展示されているかというと、、、

プリミティヴィスム・原始主義

西洋美術史的には「プリミティヴィスム・原始主義」と呼ばれているカテゴリーで「原始的なものに対する関心、趣味、その研究、影響など」を意味します。当時のヨーロッパ大陸の人々にとっては、ヨーロッパ圏外の文化、芸術は興味・関心を対象となっており探検家や商人が船で「芸術品、民芸品」もヨーロッパへ輸入している状況がありました。

印象派以前は、主に正確に写実的に描く文化だったヨーロッパの人々は、アフリカ・オセアニアの芸術品・民芸品に、今までの描き方と異なる興味深い表現方法・フォルムに魅了され、大きな影響を受けたとされています。

写実的ではなく単純化という見方・描き方があります

今の時代を生きる僕たちにとって、何も考えないで彫像を見ると、「原始的な表現のもので、今現在の日常にある表現とは全く違う。なんとなく縄文時代の土偶と似ているな。」というくらいの感想で終わりそうですが、「写実・正確性」を追求していたヨーロッパの芸術家にとっては、原始的な表現が新鮮に見え、面白く感じるのでは?と想像することは可能です。

特に学生時代に授業や部活でデッサンをやってみたことのある方は理解しやすいと思いますが、見えたままに対象物を鉛筆でそっくりそのまま写し取ろうとする技術が基礎だと学んだと思います。

※写実的な絵が、よくわからない方は印象派以前のルネッサンス期と呼ばれる時代の西洋美術史上の作品群をこちらから見ることをオススメします。

そうやって歴史の流れにのって考えてみると、単純化されている彫像たちは面白い造形です。ただ単純化されているだけでなく、首が長かったり、頭や髪の表現は独特ですが、日本人の僕にとっては「縄文時代の土偶」を思い出しますが、似ている部分もあり、異なる部分もあり、比較しても面白いと思います。制作された時代が全然違いますが。国や大陸が変わっても共通点がみられるのも興味深いですね。

バンバラの小像(マリ)

体を木で作り、目には鏡、鼻輪に真鍮を用い、色々な素材で制作されているのも面白いですね。

ダンの競争用の仮面(コートジボワール)

ヨンベあるいはウォヨの呪物(コンゴ民主共和国)

パブロ・ピカソ   《女性の仮面》   1908年

ピカソは仮面を自分で造っています。明らかにラフにつくろうとした意図を感じることをできます。

最後に

後もう一点、彫像が展示されていましたが、撮影し忘れているので興味ある方は美術館に足を運んで鑑賞してください。写実・正確性ではなくて、原始的なものに興味をむけた当時のヨーロッパの芸術家の感覚が伝われば今日のブログを書いた意味があります。明日の記事では、「キュビスムの始まりと、キュビスムは3つの時代に分けることができる」ことについて紹介します。今回の展示を逃すとフランスに行かないと見れないので、ぜひ美術館に行って実際作品を見てみてください。東京の後は2024年、京都へ巡回します。それでは寒くなってきましたが、良い一日をお過ごしください!

パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展 ― 美の革命


キュビスム・レボリューション——フランス・パリ発、世界を変えた美の革命
20世紀初頭、パブロ・ピカソとジョルジュ・ブラックという2人の芸術家によって生み出されたキュビスムは、西洋美術の歴史にかつてないほど大きな変革をもたらしました。その名称は、1908年にブラックの風景画が「キューブ(立方体)」と評されたことに由来します。西洋絵画の伝統的な技法であった遠近法や陰影法による三次元的な空間表現から脱却し、幾何学的に平面化された形によって画面を構成する試みは、絵画を現実の再現とみなすルネサンス以来の常識から画家たちを解放しました。

また絵画や彫刻の表現を根本から変えることによって、抽象芸術やダダ、シュルレアリスムへといたる道も開きます。慣習的な美に果敢に挑み、視覚表現に新たな可能性を開いたキュビスムは、パリに集う若い芸術家たちに大きな衝撃を与え、装飾・デザインや建築、舞台美術を含む様々な分野で瞬く間に世界中に広まり、それ以後の芸術の多様な展開に決定的な影響を及ぼしています。

本展では、世界屈指の近現代美術コレクションを誇るパリのポンピドゥーセンターの所蔵品から、キュビスムの歴史を語る上で欠くことのできない貴重な作品が多数来日し、そのうち50点以上が日本初出品となります。20世紀美術の真の出発点となり、新たな地平を開いたキュビスムの豊かな展開とダイナミズムを、主要作家約40人による絵画を中心に、彫刻、素描、版画、映像、資料など約140点を通して紹介します。日本でキュビスムを正面から取り上げる本格的な展覧会はおよそ50年ぶりです。

東京都:国立西洋美術館 2023年10月3日(火)~ 2024年1月28日(日)
京都府:京都市京セラ美術館 2024年3月20日(水)〜 7月7日(日)
公式サイト|https://cubisme.exhn.jp/

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